外壁塗装と屋根塗装の色の選び方

他の記事で説明しましたが、外壁塗装や屋根塗装をする上で注意が必要なのは、「工事費用」や「機能性」、「塗装工事自体の技術力」はもちろんですが、工事を依頼する際に重要な点があります。それは、色選び(色決め)です。

外壁塗装や屋根塗装、防水塗装は、費用や機能面で選択されますが、「外観で塗料の色」は、住宅の顔そのものです。依頼する人にとって、リフォームはデザインを楽しむという事も大事なことです。

いくら工事が良くても、「見た目がイメージに合わない」となると、ずっと後悔します。機能と同じぐらい大事な事ですので、この記事では「色決め」でよくある失敗からご紹介します。

  • 従来の塗装工事

    従来の塗装工事

    以前までは、色を選ぶ際に、外壁や屋根を「新築の時の色に戻したい」という、ご要望も多くあります。

    例えば、住宅を建てた時の色、素材(それに近い代わりの素材)で、施工をして欲しいという要望です。ひと言で言えば、「建てた当時の色に蘇らせたい」という依頼です。

    ちゃんとした施工会社に依頼したのであれば、これは印象が大幅に変わることはなく、「綺麗になった」「リフォームをした」と感じることが多いです。この場合、大きな失敗も無いので選び方は、業者と塗料の相談しながらでも大きな問題はないでしょう。

  • “オシャレ”な塗装工事

    最近人気!“オシャレ”な塗装工事

    一方で、「住宅のイメージを変えたい」や、「オシャレにしたい」というご依頼も多くなりました。色を元に戻すというよりは、生まれ変わるイメージに近い、まさに「塗り替え工事」です。

    これは、依頼者が個性的な色やデザインが好きな人が増えた、ということではなく、新築当時に比べて、塗料の性能や選択が増えたり、周りの風景や住宅のデザイン、街並みも当時とは変わっているからです。

    「どこよりも目立つ色にしたい!」というより、「せっかく塗り替えをするなら、ウチもイメージを変えたい!」と思われる方も多いというわけです。この場合、外壁や屋根の面積は大きいので、単に色を変えるだけで、まったくこれまでのイメージとは変わります。

    施工をした方は、「オシャレになった」「見違えた」「シックなデザインに生まれ変わった」などというような、お家そのものの印象が変わる事が多いのが特徴です。

色はどうやって決める?色決めの方法

そこで注意したいのが、色の決め方です。塗装工事の色決めで、技術や料金、塗料の種類も問題なくクリアして、あとは「色決め」という時に、選択を間違えると、せっかくのリフォームが台無しです。

とは言え、これはベテランの職人でさえも、うまく提案するのは実は難しいところがあります。色決めは、工事のスキルだけではなく、提案やヒアリングで家族の「好き/嫌い」の意見や感覚に近いところを一緒に考える必要があるからです。ただ、リフォームの醍醐味でもある色の選択は、最終的に選択するのは業者ではなく、「家族」です。

ですので、事前の段階ではあれこれ考えてたのに、色決めで失敗すると、工事の後で気付くことになります。色決めも「塗料選び」の1つです。

「前もってしっかりとした説明を受けずに業者に依頼した方」で、「実際によくあるの失敗例」をご紹介いたしますので、「塗料の色で後悔したくない」、「オシャレにしたいが失敗は嫌だ」という方は、事前に必ず読んでください。

1.カラーシミレーションで選択する時の注意点

最近では、カラーシミレーションを実施している会社も多くなりました。カラーシミレーションとは、施工後のイメージをコンピューターのソフトでシミュレーションする方法です。これは、住宅全体のイメージが掴めて非常にわかりやすいです。

PCなどのソフトですので、他のイメージを見たいと思えばすぐに色の変更ができるので、何パターンも同時に見て決めることができます。流行りの「ツートーンカラー」や「ガラッとイメチェン」という方は、見てるだけでも楽しくなります。

しかし、ここで注意が必要です。実際に塗装工事をした後は、カラーシミュレーションの時とは、少し違う色に感じるという点です。その理由は、大きく2つあります。

  • 理由その1パソコンなどの
    「画面」を通しているから

    パソコンのモニターやタブレット・スマホで表現するシミュレーションがあります。この場合、モニターの解像度や精度、大きさなどによって、実際よりも暗い、若しくは良い画面だと、明るく見えます。

    例えば、

    • ・スマホでみれば、小さい画面で綺麗なディスプレイ → 実際よりも彩度が高くなることがあります。
    • ・PC画面からコピーをして紙で見る → 実際よりも暗くなる色があります。

    そのため、色味が変わるので、「イメージしていた色とは違う」という事が、あらゆる要因で起こり得ます。シミュレーション自体は楽しくて良いことです。住宅のイメージが出来ても、色のイメージは、業者に確認する必要があります。

  • 理由その2実際の環境&太陽光では
    見え方が違うから

    こちらはそこまで複雑な要因ではありませんが、カラーシミレーションだけで検討すると起きる現象です。注意すべき点は、周囲の環境や光の当たり方が違うという点です。

    カラーシミュレーションでは、対象の住宅のみに対して、シミュレーションをするのが原則です。でも、後ほど、説明する「対比効果」で実際には差異が出ることがあります。

    例えば、で言えば、周りの家や建物の中にあります。他の住宅の色に紛れると、思ったりよりも派手に感じたり、地味に見えたりします。また、太陽光は強く、当たる角度や時間帯によっても少し見え方が変わります。

    カラーシミレーションではそこまでの精度が出ませんので、若干の差異がでます。

2.見本板で色を確認する時の注意点

多くの塗装会社、施工業者が用いるのが、「見本板」という実際に塗料で塗った、見本があります。実際の塗料が見れるので、比較的イメージに近くはなります。また、同じような色で、比較検討する際にも効果的です。

ただ、これにも注意が必要です。おおまかにはカラーシミレーションと同様ですが、この場合、機械ではありませんので、人が色を見た時の感じ方に違いがあるためです。下記の人が色を見たときに感じる効果をご参考の上、塗料の色を選んでください。

塗装のプロが説明する、面積と対比で違いが出る理由

面積効果とは?~塗装工事後は色は派手に見える⁉︎~

同じ色でも面積の大きさによって明度や彩度に変化が感じられ、見え方が変わる現象のこと。一般的に色には、大きな面積でみると明るく鮮やかにみえ、小さな面積でみると暗くくすんでみえる性質がある。

また、明るい色は同じ色でも、小さな面積でみるときよりも大きな面積で見え方が、明るく感じられる。また暗い色は、小さな面積でみるときよりも大きな面積で見た方が、暗く感じられる。

見本板や業者からの説明の際、実際に塗装工事が完工した時点で、少し明るく・鮮やかに感じる。また、見本を見ている時の状況によっても変わるので、見本を見ながら「実際に塗装をしたらどう見える?」と聞くのがベストです。

対比効果とは?~色は周りの色で変わる⁉︎~

「色の対比効果とは、色が他の色の影響によって、普段と違う見え方をする現象のことを言います。色の対比効果は、主に「同時対比」と呼ばれ、2種類以上の色を同時に見たときに起こりますがその原因は、対比させた「色同士の差」から生まれています。」

■明度対比

明度の高い色と低い色を同時に見ると、明度の高い色はより明るく見え、低い色はより暗く見える

グレーグレーグレーA+Cの組み合わせより、B+Cの方がCが明るく見える。
■彩度対比

彩度の高い色と低い色を同時に見ると、彩度の高い色はより鮮やかに見え、低い色はよりくすんで(灰色っぽく)見える

高彩度低彩度中彩度A+Cの組み合わせはCをくすませ、B+CはCを鮮やかに見せる。
■色相対比

色相の異なる色を同時に見ると、それぞれの色がそれぞれの補色に近づいて見える

オレンジA+CはCに黄みを帯させ、B+CはCに赤みを帯びさせて見せる。

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